『いねむり』
これと言って大きな事件もなく過ぎようとしている秋晴れの午後。
暇潰しも兼ねて宝児を休憩に誘った仙一は、緑が溢れるレストスペースのベンチに仲良く寄り添う伴番と鉄幹を見付け、宝児のジャケットを引いた。
「ホージー、あれ」
「ん? …あいつら…」
休憩に出たままいつまでも戻らないと思ったら、と、宝児が呆れたように呟く
のに、仙一はクスリと笑いをこぼし、足音を消してそっと2人に歩み寄る。
「おい」
「しーっ」
悪戯な笑みを浮かべる仙一に1つ溜め息を吐き、しかし、宝児は仙一に付き合って足音だけではなく気配まで消した。
長い足を投げ出すようにして座った伴番の肩に、鉄幹が小さな頭を凭せ掛けて
いる。
どうやら、遥か頭上にある分厚いガラスを通して降り注ぐ陽射しの作り出す温かさに居眠りをしてしまったらしい。この際、どちらが先に眠ってしまったのか
など、大した問題ではない。サボッている時点で2人は同罪なのだから。
「…バカ丸出しの寝顔だな…」
「まぁまぁ、可愛いもんじゃない」
2人の真ん前にまで足を進め、全く気付かずに小さな寝息を立てる2人に気を良くしつつ、仙一は呆れたように腕を組んで見下ろす宝児の足許にしゃがみ込み
、ニコニコ笑いながら居眠り中の2人を見上げる。
「あ…」
「あぁ?」
訝しげに見下ろす宝児に、ニッと笑って仙一は伸ばした人差し指を少しだけ上
げた。
その指が指し示すのは、伴番の足に乗せられた2人の手。伴番の右手と鉄幹の左手の小指がしっかり絡み合っている。
「………恥ずかしいヤツら」
「なに約束してたんだろうね」
「どうせ、ずっと一緒、とかいうヤツじゃないか?」
「ぅわ、ホーさん結構乙女思考だよねぇ」
「なっ 俺はだな、こいつらなら…」
「はいはい、判ってますって」
クスリと笑って「よっこらしょ」と立ち上がり、仙一は笑んだまま宝児を見や
る。
「起こさなきゃダメ?」
「起こさないとマズいだろうな」
「見逃してあげられない?」
「口止め料は?」
「俺が居眠りしてるわけじゃないのに、俺が口止め料払うわけ?」
「なら、叩き起こすまでだが?」
チラリと居眠り中の2人を見下ろし、仙一は「後でゆびきりの内容聞かせてもらわなきゃね」と独り言して、宝児の唇に自分のそれを重ねた。
「行くぞ」
「はいはい」
仙一と宝児がその場を去った後、伴番と鉄幹は変わることなくベンチで居眠りを続けている。
ただ、鉄幹の幼さを残した頬が赤く染まっていた。
「で、約束の内容、なんだったの?」
同じ日、勤務時間も過ぎて人気のなくなったデカルームに居残り、仙一は捕まえた鉄幹に問い掛けていた。
「え、えっと…」
「起きてたんでしょ?」
「う…」
「ホージーは気付いてなかったと思うけど」
「…ホージーさんには内緒にしてくれます?」
「ホージーに知られたらマズいことなわけ?」
「そういうわけじゃないんですけど…」
「とにかく、白状しちゃいなさい」
ズイと身を乗り出す仙一に、鉄幹の頬が真っ赤に染まる。
「…どうしても言わなきゃダメですか?」
「サボッてたの内緒にしてあげてたの、誰だっけ?」
「う…」
「ボスが会議から戻るの見計らって呼んであげたの、誰だっけかなぁ?」
「う……判りました、言いますからっ」
「で?」
「そ、その…………は一晩置きに…」
「へ?」
「だからっ エッチは一晩置きって…」
段々と小さくなっていく声に、仙一の表情が呆けたものに変わり、いきなり笑
いが溢れ出した。
「なっ そ、そんなに笑わなくてもいいじゃないですかっ」
「ごめんごめん。いや、確かにホージーには内緒にした方がいいよ。うんうん」
カラカラ笑いながら鉄幹の髪を掻き混ぜ、仙一は治めきれない笑いを引きずったまま「おやすみ」を言ってデカルームを出ていく。
そのひょろりとした後ろ姿を見送った鉄幹は、赤い顔をしたままボソリと呟い
た。
「笑い事じゃないんですけど」
思いの外大きく響いた自分の声にまた顔を赤くして、鉄幹は当直である伴番が戻ってくるのを待たずにデカルームを後にした。
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「迎火宮」の巡さまから、誕生日プレゼントということで頂いてしまいました!!(感激)
寄り添って眠る赤白も可愛さもさることながら、すっかり熟年夫婦と化している青緑の二人も激しく萌えです。
っていうか、巡さまの書かれるセン様は本当に素敵なんですよ・・・。赤白も勿論大好物です、へへへ
ぶっちゃけ、今年の誕生日は早々から最悪なことが縦続き凹んでたところ、
こちらの小説頂いてかなり浮上できました本当にありがといございます!!
んでもって、素敵小説のお返しにもなりませんが・・・
・・・イメージ画というのもおこがましいですが・・・(汗)
はじめてペインター使って着色しました。
フォトショ以外のお絵描きソフトには慣れてないのでしんどかった・・・(汗)
それなのに、フォトショと、あまり仕上げ方が変わっとらんのが悲しい・・・
2004/10/28 UP